風のある暮らし

東京から見知らぬ田舎へ。更年期の母ひとり、思春期の子ひとり(中学男子)の暮らし。

イベントも習い事もいらない。くだらない時間を大切にする

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子供が学校から帰ってくるバスの停留所まで、よほどの豪雪豪雨ではないかぎり歩いて迎えに行っています。バスが着くのは17時頃なので黄昏時ですね。

 

通常なら20分くらいの道のりを、子供のペースに合わせて40分くらいかけてあちこち寄り道しながら帰ってきます。放っておくと1時間以上になるので、その時は「晩御飯つくろう」と切り上げますが。

 

東京で仕事をしていた時の帰り道は1分1秒でも早く帰りたかった私。疲れているし晩御飯の用意もあるし、寄り道なんてしたくありませんでした。子供が寄り道すると2,3分で「もう行こうよ」と内心イライラしていました。

 

田舎に来て、子供とのこの寄り道がこんなに楽しくなるとは思いもしませんでした。私って実は散歩が好きだったんだ。移住して初めて知る自分の意外な面でした。

 

車のめったに通らない森を抜けて帰ってくるのですが、毎日その場所をゆっくり歩いていると、同じ道でも昨日とは少しずつ景色が違っていて、いつも新鮮な気持ちになります。

 

車や自転車に乗っていては見つけられないことがたくさんあります。子供は動物の足跡を見つけたり、何かの巣を見つけたり、面白い枝を見つけたり、面白い木の実を見つけたり。毎日毎日飽きることなく寄り道を楽しんでいます。

 

このあいだは、子供が飛行機雲を見つけて、「あの雲に乗ったらどこに行けるのかな」と言い出して、どこに行きたいかという話で道々盛り上がりました。

 

今日は雪解けの水が凍った氷を足で割って、サッカーを始めました。「石ころでサッカーすると痛いけど、氷だと痛くないね。」そういって家まで一緒にパスしあいながら氷を蹴って帰ってきました。

 

蹴っているうちに、氷は地面とこすれて、削れて溶けて少しずつ小さくなっていきます。溶けてなくなる前に家に着くために必死になります。

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くだらない会話にくだらない遊び。

 

くだらないことってとても贅沢なことなんだなと思います。贅沢な時間があるからくだらないことができて、くだらないことを楽しめる。

 

東京にいてもどこにいても、私にもっと気持ちの余裕があればくだらない時間も持てたし楽しめたのだと思います。

 

だけどそのころは、くだらない時間はくだらないことでしかありませんでした。そこには何もないと思っていました。確かめることもせずに。

 

今、子供は自らの意思でこのくだらない時間に頭いっぱい体いっぱい使って遊びを生み出して全力で楽しんでいます。

 

ここにはイベント体験も習い事もないけれど、そういうものがなにひとつなくても、この子は大丈夫だなという根拠のない自信があります。

 

今だからこそ、今じゃないとできないこの時間がこの子を育てているような気がします。

 

これからますますお散歩日和な季節です。森がどんなふうに変わるのか、子供がどんな発見をするのか楽しみです。