自分の両親のなれそめって気になりますよね?私の場合は、「なんであんな人と結婚したの?」「一体どこがよかったの?」と全く理解できなかったからこそものすごく気になりました。
母と父の温度差
母がまだまともだった頃。私が小学生になる前後に母にどうしてあんな父と結婚したのかよく質問していた気がします。ぶっちゃけ、もっと他にいいひといたんじゃないの?!っていうね。
結婚のこととかちゃんと理解していたのか定かじゃないけれど、年の離れた姉と一緒に聞いていたのでたぶん”知ったかぶり”のおませちゃんだったのでしょう。
そのころ母は私達にこう答えていました。
「お父さんほど私のことを好きだと言ってくれる人は他にいないと思ったから」
「お父さんが私じゃないとダメだと言ってくれた」
まだまだ幼い私は「変なの!お父さんはお母さんにひどいことばかりするのに好きなんて嘘じゃん!」って思っていました。その言葉に隠れた不自然さに気づくことはなく。
今なら分かりますが、母は父の気持ちは語っているけれど、自分の気持ちは全く語ってないんですよね。
一方の父ですが、お酒に酔って稀に見る上機嫌なときには母とのなれそめを語ることもありました。
「大恋愛して結婚した」
「自分はものすごくモテていたが、その中でお母さんを選んだ」
へーほーふーん。ここでもやはり上から目線ですか。
「いやいや違うでしょ!お父さんがめっちゃお母さんのこと好きだったんでしょ!」とかいうお約束のツッコミはここでは厳禁です。
父の機嫌を損ねないよう苦笑いしながらただ黙って話を聞くいい子の私と姉。母はというと、父の晩酌中はいつも台所に立って夕食の準備をしていたので、聞こえてはいたでしょうがどんな気持ちでそれを聞いていたのかは分かりません。
母の本当の気持ちを大人になってから知る
私が30歳になって母とガチ対峙するころに、私は母が結婚したいきさつの真相を知ることになります。
「私は結婚前はお父さんのこと嫌いだったわよ。」
ぶはっ!!!!
飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる私。
ちょいちょいちょい!何その面白すぎる話。あまり好きじゃないとかちょっと苦手とか全くオブラートにも包まず「嫌い」って!大恋愛だったとかほざいてたお父さーん、嫌いだったってよー!ウケる!!
面白い話は続きます。
「お父さんとは違う大学だったけれど同じサークルで男女2人ずつの4人グループで仲良くなったの。私の友達とお父さんの友達の2人はすでに付き合っててね。」
おおっ、なんとまあ、少女漫画のような設定ではないか。もうこれは残る2人もつきあっちゃえっていう展開ですよね~
「それで、ある日お父さんに告白されたのね。」
きたきた~そうだよね~そうなるよね~
「でもお母さん別に気になる人がいてね。」
えっ!
「それにそのころお父さんの自分勝手なところとか自分のことしか考えてないところがすごく嫌になってて、付き合うなんて考えられないと思ったの。」
ぶはっ!(再び)
「だからキッパリ断ったの。あなたのこういうところが無理だって。」
おおっ!やるじゃん!お母さん!結婚前はちゃんと言えてたんだ!
「そしたらお父さん3日間行方不明になってね。」
はあ?!
「友達カップルにそれはもう責められてね。あんなにあなたのこと好きなのに振るなんて、何かあったらあなたのせいだからねって。」
ほえ?!
「皆と一生懸命探して探して、4日目の朝に駅の入口に座り込んでいるお父さんを見つけたの。それはもうものすごく憔悴しきっててね。」
アカン、イヤナヨカンシカナイ・・・。
「僕は変わるからって泣きながら懇願されてね。」
アア、ソレハモウナンドモメニシタコウケイデハナイカ・・・。
「これほどまでに私を必要としてくれる人はこの世にはいないと思ってお父さんと付き合うことに決めたの。」
ハイ、ドーーーーーーーーン!
父の策略勝ち!母あえなく罠にはまる!ああ、もうスタートラインがそうだったのね。これですべてが合点承知した。
複雑な家庭事情のなかで自分に自信なく育った母は自分を猛烈に必要とする人がいることに自分の存在価値を見出したのでしょう。それがより自分をむしばんでいくことになろうとは思いもよらずに。
その後、母と父は卒業を待たずに学生結婚をします。当時は双方お金がなかったので町の公民館でお互いの友人だけが参列する結婚式をあげたそうな。父はよほど母を逃したくなったんですね~。
古ぼけた結婚式の写真の母は幸せそうに笑っていました。まだ父を信じていたんでしょう。
父は結婚までは約束通り”自分勝手で自己中心”な性格を封印していたらしく、母は本気で「父は変わった」と思っていたらしいです。それがまた「そこまで変わってまで私を必要としてくれてる」と思っちゃったとか。泣ける・・。
けれど、父は「変わった」のではなく「我慢」していただけ。母を手に入れるために。結婚した途端、我慢していた父の本性は大爆発。そして母の悪夢のような日々の幕が開けたのです。
もう逃げられないし逃げようとも思わない
母はチョイスを間違ったよね。他に気になる人のほうに絶対行くべきだったよね。なんてことをその後に姉とネタとして話すもありました。
まぁ、ネタはネタでしなかなく。母がチョイスした人生は今現実にある人生だけなので。
「何度も逃げ出したいと思ったしずっとつらい思いをしてきたけどお父さんも色々大変だったから。私は今は本当に幸せよ。お父さんと結婚してよかったって思ってる。」
結婚して約40年たって母はそう言いました。人それぞれに幸せの形は違って、その人自身が「幸せ」と言うならそれでいいのかもしれません。
けれど、私は心のどこかがゾワッとしました。父のマインドコントロールが40年かけて完全に完成したように見えて。
まとめ
世の中にはうちの両親だけじゃなく、表面的にはうまくいってそうで実は温度差のある恋人、夫婦もたくさんいるでしょう。いや、他人同士なんだから温度差があるのが普通なのかも。
いきさつはどうあれ、大事なのは温度差じゃなくて、その温度差をどうやってお互いがすりあわせていくかってことでしょうか。
と、うまくまとめようとしたけど、やっぱ無理。全然分からん。だって私失敗してるんでした。
というわけで、両親の結婚のいきさつは双方意見の食い違いがあって面白いですよ~というお話でした。
(ちなみに、モテてたのは父ではなく、父の友達の方だったことも母はこっそり暴露してくれました。)