風のある暮らし

東京から見知らぬ田舎へ。更年期の母ひとり、思春期の子ひとり(中学男子)の暮らし。

やっと出会えた納得のやかんが鉄瓶だった理由とは

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10年間我が家にはやかんがありませんでした。どうやってお湯を沸かしていたかというと、使わない鍋などでしのいでいました。

 

欲しいとはずっと思っていたのですが、コレ!というやかんに出会えないまま10年が過ぎました。

 

 その10年の間に、「かわいいお洒落なケトル」ではなく、「安全素材の一生使えるやかん」に意識が向くようになりました。

 

見た目にひとめぼれ

移住のために色々な空き家を見て回っていたときに、運命の出会いがありました。どの空き家も家財がかなり残っている状態だったのですが、どの家にも必ずといっていいほど、鉄瓶が置いてあったのです。

 

古民家にしっくりくる渋い鉄瓶。昔なら興味がわかなかったであろう独特のフォルム、味わい深い佇まい。歳をとれば人の好みも変わるものです。私は一目で鉄瓶が気に入りました。

 

育てていくやかん

鍋やフライパンも同様ですが、ある程度年月が経つと底が剥げたり、錆びたりといった劣化により買い替えるという行為が生じます。

 

使っていたものはゴミと化し、また新しいものを手にしますが、その新しいものもいずれまたゴミと化します。その繰り返しをやめたいと思うようになったのです。

 

これから買うものは、ずっと長く、できれば一生大事に使っていきたい。

 

その思いと鉄瓶の持つ特性がぴったり合ったのです。

 

鉄瓶は、使い込むほどに沸かしたお湯がおいしくなる、と言われています。それは、鉄瓶の中に湯垢(水の中に含まれるミネラルやカルシウムが固まってできる薄い膜)が鉄瓶の内部にたくさん付くほど、お湯がまろやかにおいしくなるそうです。

 

鉄瓶は洗う必要がないどころか、内部は絶対手を触れない、と説明書にも書いています。ズボラな私には嬉しい限りです。 

 

たくさん湯垢がつくと鉄瓶の中が白くなるそうですが、うちの鉄瓶はまだ何もついていません。毎日数時間沸かして1年かかると言われているので、1日数分しか使わないうちの鉄瓶の中が白くなるのはもっと何年も先のことでしょう。

 

その時のお湯の味を楽しみに、じっくりこれから少しずつ育てていくことにします。

 

錆びても大丈夫

 鉄なので必ず錆びます。えー?!と私も思いましたが、鉄瓶の錆びは飲んでも心配ないそうで、そのまま使い続けることで錆びも落ち着き、湯垢がついていくから大丈夫とのことで一安心しました。

 

いったん湯垢がついてしまえば、水をいれたまま一晩放置しても全く錆びなくなるそうです。

 

ただ、赤水が出るほど錆びてしまった場合、人によってはお腹がゆるくなったりすることもあるそうなので、錆び取りの対処をした方がよさそうです。

 

説明書にも書いていましたが、お茶ガラを煮だして錆び取りするというごく簡単な対処方法です。

 

実は、鉄瓶自体に「釜焼き仕上げ」と呼ばれる錆び止め対策がちゃんと施されています。約900℃の炭火で鉄瓶を焼くことで、内部表面に四三酸化鉄の皮膜を形成させる伝統技法です。化学塗料とかで表面をコーティングするものではないので安心です。

 

この酸化皮膜が自然に取れてくる頃に、鉄瓶の中に少しずつ湯垢ができてきて、膜がなくても錆びにくくなるというわけです。

 

湯垢ができるまで、赤水が出るほどの錆びをつくらないよう、正しく使おうと思います。

 

素材が安心

鉄製品は私の中で一番安全な材質だという認識です。やかんを含め調理器具にはコーティングされたものやアルミ、ホーロー、ステンレス、他にも色々と種類はあります。

 

ネット上ではどれが安全でどれが危険かというサイトがたくさん出回りすぎていて、それぞれに意見が違っていたりするので、「これが正解」とは一概には言えません。

 

このような場合は、「自分の見解」で選択するのが一番です。私が自分なりに調べて出した答えは「鉄製品はどの状況においても体に害になる成分が発生しない」ということです。

 

では、よく言われる「鉄瓶、鉄鍋を使うと鉄分補給ができる」という通説は本当でしょうか。

 

岩手大学教育学部 医学博士 及川桂子氏の研究報告書に詳しい科学的データが載っています。以下のことから、鉄瓶の利用が鉄供給増加に有効であることが証明されたようです。

 

「鉄びんで湯を沸かした場合の鉄の溶出量は通常0.2ppm弱と推測した」

「鉄びんで沸かした湯では溶出鉄中の78.5%が2価鉄」

 

引用元:調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化,日本調理科学会誌36(1),2003:39-44

 

0.2ppmとは濃度を表す単位で、0.1ppm→1g中0.0001mg の鉄分、ということは、コップ1杯200gの中に0.04mgの鉄分が含まれるということです。1日3杯飲んだとして、0.12mgの鉄分補給になります。

 

これを多いと取るのか少ないと取るのかわかりませんが、鉄分補給できることには間違いありません。

 

ちなみに厚生労働省が定めた1日の鉄の摂取必要量はこちらです。(推奨量ではなく必要量です)

 

  • 成人女性(月経あり)8.5~9mg
  • 成人女性(月経なし)5~5.5mg
  • 成人男性 6~6.5mg

 

自分がこれだけ摂取できているかは疑問です。

 

ちなみに鉄分は、人間の体に吸収されやすい二価鉄(ヘム鉄)と吸収されにくい三価鉄(非ヘム鉄)に分かれます。鉄鍋、鉄瓶から溶出する鉄の78.5%は二価鉄になるので、鉄分補給につながるとされています。

 

ここまで書いておいてなんですが、私は鉄分補給はどちらでもよかったです。実は鉄瓶で鉄分補給なんて全然できませんよ、という結果が出たとしても鉄瓶を選択していました。

 

使い続けても体に有毒な成分が出ないということが最大のメリットでしたので、鉄分補給はおまけのプレゼントです。

 

我が家の鉄瓶

 岩手県にある、及源鋳造さんの南部鉄器で、 0.8Lの小鉄瓶です。小さいかなと思いましたが、この八角形がどうしてもよくて悩んだ末に決めました。

 

小ぶりではありますが、結果このサイズで良かったです。鉄瓶は結構重いので、これ以上大きいサイズに水を入れたらかなり重くなっていたと思います。

 

毎朝この鉄瓶で沸かした白湯を飲んでいます。届いた時からすでにまろやかで甘い味がしていたので、これよりまろやかな味になるのが楽しみです。