私は”運動”と名の付く全般が苦手です。俗に言う”運動音痴”というやつです。なので「徒競走なんてこの世から消えてなくなれ」と思っていたし、体育も運動会も嫌いでした。
親になって悪夢再び
大人になると徒競走で自分の運動音痴を人前にさらけ出す機会もなく、独身時代はインドア派という名の引きこもり体質だった私は平穏な日々を送っていました。
が、まさか親になってあの醜態を再び人前でさらすはめになるとは。保育園や小学校の運動会では”保護者リレー”という私には迷惑でしかない競技が存在したのです。誰だよ!こんな競技考えたのは!
けれど。キラキラした目で「お母さん頑張ってね!」と子供に言われたら頑張るしかありません。
母、全力疾走です。足がもつれるかと思うほど高速で足を動かします。これ以上ないほどの本気の走りです。
にも関わらず。
「スローモーションかと思った!」「静止画のようで写真がよく撮れた!」とママ友からは散々な言われよう。何も言い返せずゼーハーしていると優しい私の子供が近寄ってきて言いました。
「お母さん、あれ本気じゃないよね?どうして本気で走らないの?」
母の渾身の走り、子に届かず。
この後「母は本気で精一杯走った」ことを子供に告げると、「そうなんだ。分かった。次からはもう出なくていいからね。」となんか微妙な一言をいただきました。
とまあ、周りがざわつくくらいの運動音痴炸裂な私なわけです。
子供も運動音痴
そのDNAを子供もしっかり受け継いでしまったようで運動能力はすごぶる低いです。保育園のころなんて見ていてせつなくなるほどの音痴ぶりでした。
今も昔も走るのはもちろん遅いので、運動会の徒競走では常にダントツのビリ。保育園の運動会で披露する跳び箱も逆上がりも一人だけできなかったりで母の心臓はもうぺちゃんこ寸前。
母と子の決定的な違い
運動音痴炸裂な親子ですが、子供が私とは違うこと。それは運動が大好きなこと。小さい頃から今も変わらず体育が大好き。徒競走もマラソンも野球もバスケもドッジも水泳も大好き。ついでにおにごっこも!
東京の小学校の運動会ではリレー選手は選抜だったのですが、「僕出たいな~選ばれたいな~」と恐ろしく前向きすぎる発言をして母をビビらせました。
子供も自分が走るのが遅いことは認識しているのですが、私のように「遅いから走りたくない」というネガティブな発想にならないんですよね。
だから徒競走もビリになる可能性が高いのにワクワクして臨めるわけです。私には考えられないことです。「遅いけど走るのが好き」って鉄のマインドだな~と我が子ながら感心してしまいます。
運動音痴な子供への接し方
特別なことは何もしないというか、むしろしないようにしてきました。そもそもできない私が指導なんて無理だし、「なんでできないの?!(自分もできないくせに言っちゃいそう)」パターンに陥るのも目に見えていたからです。
体操教室に通っているお友達もたくさんいて、ちょっと心揺れたりもしましたが、うちの子供の場合はなんかそういうのは違うような気がして踏み切れずに今に至ります。
唯一気を付けているのは、親の私が子供に運動音痴であることをわざわざ認識させるようなことをしないようにすること。
子供が「1位になりたいな~」と言えば、(身の程知らず!と心の中で思いつつ)「1位とれるといいね~」と返したり。
「リレー選手に選ばれたいな~」と言えば、(どうやったらその発想になれるんだ!と心の中で思いつつ)「なれるといいね~」と返したり。
色々なツッコミは飲み込んで、子供の気持ちにできるだけ同調するようにしていました。
かといって、「あなたなら1位とれるよ!ファイト!」って熱弁するのもはなんか嘘っぽいというかそんなこと言ってもうちの子供の場合は自信にはつながらないし、そんな体育会系の家じゃないのでシラ~とした感じになりそうなので言いません。
「やっぱり1位は無理かも~3位くらいかも~」とか言ってたら「そっか~」とひたすら同調です。
子供が弱気になっていたら後々傷つかないよう「1位じゃなくていいんだよ」って伝えたことも保育園時代はありましたが、それもなんか違うよなあ、子供の為じゃなくて傷ついた子供を見たくない自分の為の保険だなと思ってやめました。だいたい1位じゃなくていいなんて、よくよく考えたら子供に失礼ですよね。
今は順位をつけない運動会も増えているようですが、徒競走やリレーとか順位あるものは上位を目指す姿勢があっていいんじゃないかなって私は思います。(徒競走なくなれって思っていた自分の過去はさておき。)
それで1位じゃなかったからといって、「やっぱだめじゃん!」なんてことは口が裂けても言いませんが。
というか1位になったことなんて今までに一度もなくて、結果ビリだったりビリから2番目だったりするんですが、「本気で走っててかっこよかったよ!」でサクっと終わりです。
保育園時代は全く上がっていなかった足も随分上がるように
ネガティブなときもある
そんな私とは正反対なポジティブ人間の子供ですが、「これはできないからやらない」っていうときも多々あるし、移住して初めての運動会の徒競走では初のネガティブ発言もありました。
ビリからギリギリ2番目だったんですが、「本気で走ってないし」とかぬかしやがったんですよね。プッチーンですよ、私。
「かっこわる!かっこわるー!!走った後に本気じゃなかったとか言う人ってめっちゃかっこわるー!!!本気じゃないビリから2番目より本気で走ったビリの方がよっぽどかっこいいわ!しかも本気じゃないって本気で走ってる他の子に失礼だし!本気で走らないなら徒競走に出る資格なんてない!そんな気持ちで走るなら今後出なくていい!」
とまくしたててしまいました。こういうときは容赦なしで言っちゃう鬼母です。子供は「本気でした・・・ごめんなさい・・」と小さい声で呟いていました。
その後、「悔しかったんだよね?もっといけると思ってたんだよね?」と静かに問いかけると子供は泣きそうな顔でうなづいていました。
転校先の運動会での初めての徒競走。お友達にも私にもいいところを見せたかったのでしょう。自分ではもっと上位になれる自信があったようです。”負けて悔しい”そういう意識が出てきたっていうのはそれもまた成長なんだな~とも思います。
そういう意識がいい方向に向けばもっといい結果につながるのかもしれませんが、いかんせん、”負けて悔しい”思いもしたことのない負け続きだった私にうまく誘導などできないので、下手にしゃしゃり出てマイナスに働くくらいなら、それ以上の声掛けもアドバイスもしない方がいいなということで子供の成長を見守るのみです。
好きこそ物の上手なれ
保育園時代は走るのもダントツのビリだった子供も、ビリ争いができるまでに。しかもビリじゃないことの方が多くなりました。(なんて低レベルな争い!)
もしかすると、それなりの教室に通わせてそれなりの指導をさせたら、もっとどうにかなったのかもしれません。
でも、”今日はマラソンだ~♪”と私には理解できないことで喜んでいる子供を見ると、何もしなくてうちはよかったのかもと思います。
秋には地区の小学校の陸上競技大会もあり、その練習を今から心待ちにしています。私だったらどうやってズル休みしようか必死で考えるような消えてなくなってほしいイベントですが。
持って生まれた才能も確かにありますが、「この競技が好き!楽しい!」という気持ちがまず何よりも大事だと思います。それは時には奇跡も起こす力もあるのでは?とか思ってしまう母です。
というのも今年の子供の水泳でびっくりしたことがあったので、また次回記事にしたいと思います。