風のある暮らし

東京から見知らぬ田舎へ。更年期の母ひとり、思春期の子ひとり(中学男子)の暮らし。

『となりの少年少女A理不尽な殺意の真相』を読んで自分と重ね合わせた1つの事件(1)

スポンサーリンク

図書館でふと目にした『となりの少年少女A: 理不尽な殺意の真相』という世間を震撼させた少年犯罪事件を検証したを借りて読んでみました。

 

7件の少年犯罪

少年犯罪があるとどうしても気になるのはその子の生まれ育った環境。幼少期からどんな風に育てられて、家庭や学校での様子がどうだったのか、私はものすごく調べてしまいます。

 

それは自分の子育てに自信がないからとも言えるし、自分自身が紙一重のところにいた時期があるからとも言えるし。

f:id:aokamizu:20181029124901j:plain

  

本書は次の10章で構成されています。 

第一章:発達障害についての私の理解
第二章:神戸連続児童殺傷事件……手記「絶歌」に隠された真実
第三章:佐世保小六女児殺害事件……ホラーに傾倒する環境
第四章:伊豆タリウム少女母親殺害未遂事件……グレアム・ヤングの模倣犯
第五章:奈良エリート高校生放火殺人事件……暴力に追い詰められて
第六章:佐世保高一同級生殺害事件……月100万円でマンション暮らし
第七章:名古屋大学女子学生老女殺害事件……責任能力をめぐる争い
第八章:フロリダ州パークランド高校銃乱射事件……銃規制と精神疾患
第九章:矯正教育の変化と司法の取り組み
第十章:自閉症スペクトラム障害と「脳」の関係  

※発達障害と少年犯罪の関係については私には全く分からない領域なのでそのことについては特に言及することはありません。

 

『人を殺してみたかった』『解剖してみたかった』というような猟奇的であったり無差別な事件を犯した少年少女の心理状態は私には全く理解することができないし、彼らの家庭環境を考慮したとしても共感できる部分はなにひとつありません。

 

この本に出てくる7つの事件のうち6つがそういう理解しがたい事件でした。ただ、ひとつだけ自分と重ね合わせてしまう部分がある事件があります。

 

父親に追い詰められていく少年

”第五章:奈良エリート高校生放火殺人事件……暴力に追い詰められて”

 

”奈良自宅放火母子3人殺人事件”の方が分かりやすいでょうか。事件の概要を簡単にまとめてみました。

 

『2006年6月20日、全国でも屈指の進学校・私立東大寺学園高校に通う高校1年生だった長男が父と継母と異母兄弟(5歳と7歳)が住む自宅に放火をしたことにより、継母と異母兄弟の3人が死亡した事件。

 

事件発生直後は実父が不在だったこともあり継母との関係がうまくいっていなかったことが背景にあるのではと憶測されるも、継母との関係は良好であり継母と異母兄弟には何の恨みもなく殺害する明確な意思はなかったという。

 

少年が本当に殺害しようとしていたのは実父。中間試験の英語1の点数が平均よりも20点足りない。たったそれだけの理由で少年は放火するにいたった。

 

医師である実父は教育熱心で少年に医師になることを強要し、少年の勉強を4歳からマンツーマンで指導していた。

 

学校の成績が下がったり、実父の要求するラインに達していなければ、少年は実父に殴られたり蹴られたりしていた。

 

その虐待ともいえる暴力を少年は10年以上にわたって受けてきた。そして事件の発端となる英語1のテスト結果が返ってくる。

 

少年は本当の点数を実父に言えずに思わず嘘をついてしまう。でもこのままでは2週間後の保護者会で嘘がバレれば実父に殴り殺される。

 

”保護者会までに父を殺さなければ”少年は追い詰められていく。そして保護者会のある6月20日の早朝にとうとう少年は自宅に火を放ってしまう。』

 

本書では、実父を殺そうと計画するところから放火にいたるまでの少年の細かい行動や追い詰められていく様子が書かれています。

  

私の過去

『このままでは殴り殺される』


少年が抱えた恐怖を私も抱えたことがあります。私は彼のようにエリートでもなかったし全国的に有名な進学校に通っていたわけでもありません。だいぶ早い段階で離脱したので。

www.aokamiz.com

 

けれど、父がエリートであり、幼少期より私自身エリートになることを強要され、父からのマンツーマンの勉強指導があり、要求値に達しない場合は殴られたことは共通していました。

 

私が中学生のころ、毎週末に私の部屋で父のマンツーマンでの勉強指導がありました。エリートである父にできの悪い娘。いい画なんて何も浮かびませんね。

 

父の要求値に遠く及ばない私にキレる父。恐怖で問題も頭に入ってこないし考えられない分からないできない。ますますキレる父。永遠の悪循環。どんなに泣いてもその部屋からは出してもらえない。母も姉も誰も助けてはくれない。絶望でしかない時間。

 

そんなある日、私は週末に父が使う問題集の答えの束を見つけてしまいます。これを全部覚えれば、私は助かる!このときほど希望に満ちたときはありません。

 

翌週末分やるであろう問題集の回答を両親がいない隙に必死に覚えました。記憶力だけはいい私はその力を存分に発揮して、週末の勉強指導で父にキレられることは激減しました。

 

このまま何の意味もない平和な勉強指導が続くかと思われました。でも急にできが良くなった娘を両親が疑わないはずがありません。

 

そしてある日、私のカンニングが母にバレたのです。
「あなた答えを見てるでしょう?今日そのことをお父さんに報告するからね。」

 

私は血の気が引くのが分かりました。『父に殴り殺される』と思った瞬間でした。

 

長くなってしまったので続きは次回に。ごめんなさい!